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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

かっけと栄養 幕末から明治にかけ猛威を振るった

公開日: 更新日:

 今回からは話題を変えて、栄養に関わる歴史的な事件についてです。「かっけ」という病気をご存じでしょうか。詳しくは知らなくても名前くらいは聞いたことがあるかもしれません。膝頭をトンカチで叩いて診断する病気ですよね、なんて言う人も多いでしょう。

 かっけというのは文字通りに解釈すれば、「脚(足)の病気」ということなのでしょう。脚の神経がやられて、しびれや麻痺が起こるのですが、そのために膝頭をトンカチで叩いても脚の筋肉が反応しなくなり、病気の診断に役立ったわけです。「トンカチで叩いて診断する病気」というのは、まさに正解なのです。

 しかし、かっけは脚の病気というだけでなく、最終的には心臓にまで影響が及び「かっけ衝心」と言われる状態、今のコトバでいえば「心不全」によって亡くなります。

 今ではほとんど見ることのないかっけという病気ですが、幕末には2人の将軍がこの病気で亡くなり、明治になってからは天皇もかっけにかかり、軍隊では集団発生して多くの軍人が亡くなっています。

 当時の海軍のデータを見てみると、1875年には100人中26人がかかり、そのうち陸軍では22%が、海軍においても5%が亡くなっています。

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