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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

高齢糖尿病患者は“薬漬け”に気をつけたい

公開日: 更新日:

 高齢になって初めて糖尿病と言われた患者さんが増えている状況を紹介していますが、実際にどう対処すればいいのか、一緒に考えてみましょう。

 高齢者の健診でHbA1cが6.5%以上だと糖尿病の診断がつき、定期的に通院しましょうということになります。正常値は6%未満ですから、そこを目指して薬を始めましょうとなることも多いでしょう。そうなると1カ月ごとに外来を受診して、毎回採血をして血糖値とHbA1cを測定し、薬をもらって帰ってくるという日々が始まることになります。

 高齢になってもこうした十分な医療が受けられる日本は幸せ、そう思う人がいるかもしれません。

 しかしそれはとんでもない誤解です。糖尿病ガイドラインでもHbA1cの目標値は7.0%で、健診で糖尿病と言われても、その値が6.5~7%の人はまずはそのままでいいのです。それ以上に下げる意味が小さいことがわかっています。さらに血糖を下げすぎる危険のあるインスリンやスルホニル尿素という薬で治療する場合には、HbA1cを6.5%未満にはしないほうがいいとなっており、薬を使うのは低血糖の危険を増しているだけかもしれません。そのうえ毎月検査をするというのも、もっと重症の糖尿病患者ですらそんなに検査はしなくていい場合が多いのです。

 高齢者で初めて糖尿病と言われた人は、HbA1cが7%を超えない限りは放っておくのがいいでしょう。間違って医者にかかったりすれば不要な検査と不要な薬を盛られるだけです。

【連載】生活と健康 数字は語る

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