著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

「妊活」成功のカギは果物とファストフードの摂取状況

公開日: 更新日:

 喫煙などの生活習慣は、女性の不妊リスクと関連しているようですが、食習慣と妊娠の関連性についての研究は少ないそうです。そんな中、食事の摂取状況と妊娠までの期間や不妊リスクの関連を検討した論文が「Human Reproduction」という生殖医学に関する専門誌に2018年6月1日付で掲載されました。

 この研究では5万598人の妊娠女性が解析対象となり、アンケート調査により取得された妊娠以前の食事内容と、妊娠までの期間、不妊のリスクの関連性が検討されています。

 解析の結果、妊娠までの期間は、果物を1日に3回以上摂取していた女性と比べて、1日に1~3回未満では6%、週に1~6回では11%、月に1~3回では19%、統計学的にも有意に長くなりました。また、ファストフードを週に4回以上摂取していた女性と比べて、週に2~4回未満では11%、週に2回未満では21%、まったく摂取しない人では24%、統計学的にも有意に短くなりました。

 不妊症のリスクについても、果物を1日3回以上摂取した女性と比較して、1日1~3回未満では7%、週に1~6回では18%、月に1~3回では29%、統計学的にも有意にリスクが増加しました。また、ファストフードを週に4回以上摂取していた女性に比べて、週に2~4回未満では18%、週に2回未満では34%、まったく摂取しない人では41%、統計学的にも有意にリスクが低下しました。

 過去の食事摂取内容を聞き取りにより調査した本研究は、被験者の思い出し方に偏りが生じてしまう可能性もあり、結果の妥当性には議論の余地もあります。とはいえ、果物の摂取量を増やし、ファストフードの摂取量を減らすことで、妊娠までに要する期間の短縮が期待できるかもしれません。

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