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佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

死の恐怖を乗り越える術 頭で考えるのではなく“体に聞く”

公開日: 更新日:

「……マンション近くの小川まで来ると……秋は深まって、川沿いの木は風にゆれて葉を落していました。足もとの落ち葉をひろって指でもてあそびながら、川を眺め続けました。川の水はところどころ渦を巻きながら流れていきました。水は渦の所で巻き込まれながらも、先へ先へと流れていきます。

 ……どれくらいそこで過ごしていたか分かりませんが、気づくと足もとに枯葉がたくさん落ちていました。大量の落ち葉を見て、ふっとこう思いました。『死は特別なことではなく自然なことだ。そして僕も自然の一部である。だから僕が死ぬのは自然なことだ』

 ……この旅行に満足し……もう少しで解決できる所まで問題を追い詰めたと思っていたのに、死を考えることが僕の中では必要のないことになった感じがして考えようとしませんでした」

「それから数日が経って、駅前の商店街に買い物に出かけました。横断歩道で信号待ちをしていると、視野の左上から光が射しました。太陽だったと思うのですが、見上げて光が目に入った瞬間に、『子どもだ、人生の可能性は子どものことだったんだ』と気づきました。僕の命から次の命に流れていく強いつながりを感じました。そこにはとても深い感動がありました」

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