インフルエンザに克つ 免疫力をアップする「3つの方法」

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「ワクチンに加えて、免疫力を常に高めておくこと」

 インフルエンザが猛威を振るっている。今大流行しているのは10年前に世界中でパンデミックを起こした新型インフルエンザと同じA型のウイルス。それが一段落する2〜3月は、B型インフルエンザの猛威が待ち構えている。このインフルエンザの脅威から逃れるにはどうすればいいのか。インフルエンザと免疫力に詳しい芝大門いまづクリニック院長の今津嘉宏医師に聞いた。

「今ある確実な予防策はワクチンしかありません」と今津医師。

「最近のワクチンは、A型とB型合わせて4種類のインフルエンザウイルスに対するワクチンになっています。このワクチンを注射しておけばインフルエンザにかかりにくくなりますし、もしかかっても軽くてすむのです」

 ワクチンで予防できるはずなのに、それを実行していなくて感染源になってしまったら責任は重大。自分だけでなく、家族や職場の同僚をインフルエンザから守るためにも、ワクチン接種は必須なのだ。

「私たちの体の免疫は、ある程度アクセルを吹かして準備をしておくと、より早くエンジンがかかりやすいことが分かっています。その準備が抗体を作るワクチンであり、日頃から免疫力を高めておくことなのです」

 ワクチンに加えて、免疫力を常に高めておくことがインフルエンザの防御には欠かせないと今津医師はいうのである。

■食物繊維を摂ることが大きなポイント

「昔は、ミカンを食べると風邪をひきにくいとかいって、冬になるとミカンをたくさん食べたものです。それは、ミカンのビタミンAが体の免疫力を高めてくれるからです。一方、ゴボウや大根などの根菜類やキノコに代表される山菜類、それに海藻類に豊富に含まれている食物繊維を摂ることも、免疫力アップにつながる大きなポイントです」

 食物繊維は、カロリーが少なく、お腹の掃除に役立つことが知られている。だが、それ以外にもいいことがたくさんあるのだ。

「食物繊維は体の中で消化も吸収もできませんが、実は、大腸に棲んでいる腸内細菌がそれを食べて、分解しているのです。その食物繊維が分解されてできた物質が、腸の粘膜の栄養素になったり、有害物質を吸収して毒をとってくれます。加えて、腸の粘膜の状態をよくして、腸の栄養の吸収を高めることや、免疫を活性化することにつながることも、最近になってやっとわかってきたのです」

■乳酸菌は多種多様。免疫力アップには、たとえば、R-1乳酸菌など

 もう1つ、免疫を活性化するものとして注目されているのが発酵食品だという。

「20年前は、ヨーグルトなどの乳酸菌は、生きたまま腸に届かないのだから、意味がないのではないかと考えられていました。ところが、乳酸菌は死骸でも腸内細菌のエサになり、栄養になることがわかってきたのです」

 乳酸菌にはさまざまな種類があり、それぞれが個性も機能性も多種多様。風邪やインフルエンザの感染予防が目的なら、そのようなデータがしっかり取られているものを選ぶべきだと今津医師は話す。

「例えば、R-1乳酸菌には免疫細胞を活性化して風邪やインフルエンザの罹患リスクが低下したことが研究で分かっています。そのような乳酸菌を含むヨーグルトを毎日摂れば、風邪やインフルエンザウイルスに対する免疫力アップが期待できるはずです。研究者として長くやってきた私の経験から言えば、研究はトライアンドエラーの連続で、やっと成功しても、1回の成功では発表できません。繰り返し同じ結果が出て、初めて論文として世に出せるのです。そんな研究者たちの努力をうまく活用した方が賢明なのではないでしょうか」

■最も血流の多いところを温めるのがポイント

 今津医師は免疫力アップの3つ目の方法として、体を温めることも勧める。

「血管の中で最も血流の多いところを温めるのがポイントです。3つ挙げれば、お腹、首、脇です。体の臓器の細胞や免疫細胞が元気に働くためには酸素と水と酵素が必要で、酵素がないと反応が生まれません。この酵素を活性化させるには、汗をかく手前程度の高い温度が必要。だから、体中をめぐる血液を適度に温めることが大切なのです」

 ショウガに熱を加えたものや長ネギを食べれば体が温まる。体の外と中から温めるのが効果的なのだそうだ。ワクチン、食物繊維、選ばれたヨーグルト、それに体を温めることを心がければ、インフルエンザの猛威から逃れられるかも。

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