“捕らわれの身”と感じている友人が息子の話になると笑顔に
                        
 男同士で何を話すか、Rさんは話題を探しました。息子は、病状を気遣っているふうもなく、いま学んでいる哲学の話をしてくれました。世の中で直接は役に立たない話だけれど、学んでいることを熱心に話す息子の姿に、「よし、大学の勉強はそれでいいんだ」とRさんは思ったといいます。
 息子は、今の政治の批判も口にしていました。Rさんは自分の学生時代が蘇り、咳き込みながらも息子の成長をうれしく思ったそうです。
 息子さんの話を聞かせてくれた時、Rさんは笑顔でした。きっと、死が近いこと、捕らわれの身だと感じていることも忘れていたのだと思います。
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