5000人以上の音楽家を診察 医師考案の治療とリハビリ法

公開日: 更新日:

 原因はハッキリ分かっていないが、この場合の治療もリハビリが中心になる。

 酒井院長が考案した「SDE(スローダウンエクササイズ)」というリハビリ法は、海外の音楽家医学の教科書にも紹介されている。フォーカルジストニアは演奏中に出る症状なので、週1回担当している東京女子医科大学病院整形外科「音楽家外来」で院外のスタジオも併用して診療に当たっている。

「ピアノ演奏では指が手のひら側に曲がる(巻き込む)人が多い。フォーカルジストニアは、ゆっくり弾くと症状が出にくくなります。SDEは、症状の出やすい楽曲で、最初は症状の消える速度で弾いてもらいます。そして、少しずつ速く弾けるように訓練していくリハビリ法です」

 効果は、患者によって差がある。半年で完治した人もいれば、長期間かかる人もいる。中には、つらいので諦めてしまう人もいる。いずれにしても、音楽家のフォーカルジストニアの治療は、世界的にも「リハビリが重要」という認識になってきているという。国内では「音楽家医学」に精通する医師がまだ少ないため、酒井医師は「日本音楽家医学研究会」や「音楽家の手懇話会」を設立して普及に努めている。

「プロの音楽家という職業は、プロスポーツ選手と違って引退がなく、一生もの。障害に悩まされていたら、諦めてしまう前に一度受診してもらいたいと思っています」

【連載】人生100年時代を支える注目医療

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ