5000人以上の音楽家を診察 医師考案の治療とリハビリ法

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 原因はハッキリ分かっていないが、この場合の治療もリハビリが中心になる。

 酒井院長が考案した「SDE(スローダウンエクササイズ)」というリハビリ法は、海外の音楽家医学の教科書にも紹介されている。フォーカルジストニアは演奏中に出る症状なので、週1回担当している東京女子医科大学病院整形外科「音楽家外来」で院外のスタジオも併用して診療に当たっている。

「ピアノ演奏では指が手のひら側に曲がる(巻き込む)人が多い。フォーカルジストニアは、ゆっくり弾くと症状が出にくくなります。SDEは、症状の出やすい楽曲で、最初は症状の消える速度で弾いてもらいます。そして、少しずつ速く弾けるように訓練していくリハビリ法です」

 効果は、患者によって差がある。半年で完治した人もいれば、長期間かかる人もいる。中には、つらいので諦めてしまう人もいる。いずれにしても、音楽家のフォーカルジストニアの治療は、世界的にも「リハビリが重要」という認識になってきているという。国内では「音楽家医学」に精通する医師がまだ少ないため、酒井医師は「日本音楽家医学研究会」や「音楽家の手懇話会」を設立して普及に努めている。

「プロの音楽家という職業は、プロスポーツ選手と違って引退がなく、一生もの。障害に悩まされていたら、諦めてしまう前に一度受診してもらいたいと思っています」

【連載】人生100年時代を支える注目医療

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