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坂本昌也国際医療福祉大学 医学部教授 国際医療福祉大学 内科部長・地域連携部長

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

糖尿病は治らない…はかつての話 ポイントは早期治療にあり

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 いずれにしろ、この研究から推測できるのは、糖尿病を発症して早い段階で徹底した体重コントロールに努めれば、内臓脂肪が減少し、膵臓が再起動する。

 結果、インスリンを適切に分泌できるようになり、糖尿病から脱却できる可能性がある、とのことです。全員がそうならなかったとはいえ、「糖尿病を一度発症すると、うまく付き合うことはできても、“完治”は不可能」と考えられてきたことを考えると、約半数近くが糖尿病から脱却できた意味は非常に大きいと思います。

 患者さんの中には、「糖尿病と言われた。お先真っ暗だ。もう食事を楽しめない」と悲観的になる人がいます。または、「血糖値が高い。再検査を」と健診で言われたけれど、「糖尿病と診断されるのが怖い」「糖尿病は治らない病気なのだから、早く診断されても意味がない」などの理由から、再検査を受けに行かない人もいます。進行しないと自覚症状が出てこない病気なので、「仕事が忙しいから」と再検査を後回しにしている人も少なくありません。

 しかし、「糖尿病を早期発見し、早期治療をすれば、完治の可能性もある」と考えれば、行動も変わってくるのではないでしょうか? また、糖尿病を改善するために徹底した体重コントロールをすれば、DiRECTの研究結果でも示しているように、内臓脂肪も減少しますから、脂質異常症や高血圧も改善します。一石二鳥、いや三鳥かもしれません。そして、いわゆる“体質リセット”ができる。「人生100年時代」ですから、60歳を過ぎても生き生き元気に過ごせることは、非常に重要です。

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