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坂本昌也国際医療福祉大学 医学部教授 国際医療福祉大学 内科部長・地域連携部長

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

「適度な運動を行うようにしてください」と言わない理由

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「適度な運動を行うようにしてください」

 こんなことを医師や看護師から言われたり、また健康雑誌やテレビ番組で見て、うんざりしたことがある人は多いでしょう。運動が体にいいことは分かっている。でも、忙しくて運動ができない、または膝や足首が痛くて体を動かすのがつらい……などなど。

 運動は確かに大切。脂肪燃焼効果があり、筋肉をつけて基礎代謝を高める運動は、取り入れてほしい項目のひとつです。

 さらに運動は、インスリンの働きを改善して血糖値を正常の範囲に保ったり、悪玉コレステロールを減少させ善玉コレステロールを増加させたり、ストレス解消になったり、骨粗しょう症を予防したり……。近年は、体の老化を促進させ、がん動脈硬化などさまざまな疾患をもたらすといわれる「活性酸素」が、身体的不活動でも高まるという報告もあります。つまり、運動が体にいいことが、あらゆる方面から証明されているのです。

 ただ、臨床現場で多くの患者さんに接していると、「運動をやってください」がいかに効果のない言葉かを感じます。生活習慣病といわれている糖尿病脂質異常症は元来、現代の忙しい生活などで運動習慣の継続が難しかったことも一要因となり、発症することが考えられます。そうなると医師や看護師の「運動をやってください」という言葉は、本人が分かっていてもなかなか実践できないものであり、三日坊主になってしまうことも。ややもすると「小言が多い医師だな~」と病院への足が遠くなり、治療中断につながってしまうこともあります。

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