治療法や予防は?新型肺炎「7つの疑問」2人の医師が答える

公開日: 更新日:

 見えない恐怖が、ひたひたと迫っている。中国・武漢を“震源地”とする新型コロナウイルスは汚染地域を拡大、感染者を増やしながら、変異を繰り返し、20日には、中国政府の専門家グループ長が、「人から人への感染」を認めた。24日からは、中国の大型連休・春節がスタート。多くの中国人が日本に押し寄せるだろう。7つの疑問を探った――。

Q 毒性は強いのか?

 22日現在、中国国内での死亡者は17人。540人超の感染者は武漢を越えて広がり、北京や上海、広東省でも確認されている。気になるのは、毒性だろう。強いのか。

「新型コロナウイルスの致死率は現在、3%程度。SARSやMERSの致死率(表1参照)と比べると、現時点ではそれほど毒性が強くありません。報道によれば、武漢で治療を受けている人のうち8割は軽症。今は、それほど恐れなくていい」(東京医大名誉教授・加藤治文氏=呼吸器外科)

 なるほど、MERSの致死率34%と比べると、3%は大したことなさそうだ。

Q 重症化しやすい人は?

 人→人感染の成立で、感染者は爆発的に増えるはずだ。ヤバいのは?

がん糖尿病のほか、リウマチやバセドー病などの自己免疫疾患があると、免疫力が低下しやすい。こういう持病がある人が感染すると危ない。当初、中国で亡くなった4人のうち2人は持病があったと報告されていて、1人目の61歳男性は肝臓病とがん、4人目の89歳男性は糖尿病と高血圧。免疫力をキープするためにも持病の治療はしっかり受けておくことです」(加藤氏)

 性別と年齢が不明の3人目を除くと、残りの3人は60代以上。死亡者が高齢者に多いのは、一般の肺炎と重なる。

Q 人→人感染で強毒化したら?

 昨年確認されてから焦点の一つが、人→人感染のタイミングだった。今後の焦点は、感染力のアップと強毒化だ。

「ウイルスは変異を繰り返して、強毒化したり、感染しやすくなったりします。強毒化のリスクはゼロではありません。もしそうなると、“殺人ウイルス”と恐れられますが、そういう凶暴なウイルス感染がある程度広がっていくと、実はどこかのタイミングで致死率は下がるのです。スペイン風邪のときもそうでした」(東京医科歯科大名誉教授・藤田紘一郎氏=感染免疫学)

 1918~19年にかけて世界規模で感染爆発した、当時の新型インフルエンザは、スペイン風邪と呼ばれる。表2は、その日本での患者数と死亡者数を示している。1918年の人口は約5670万人だから、国民の4割近くが感染した計算だ。2年目には、患者数は減りながらも、強毒化を示すように患者100人当たりの死亡者数は急増。20年には、患者数からみてほぼ季節性インフルの状況に落ち着いている。

Q 従来型は風邪が原因というのは本当?

 YES。従来のコロナウイルスは、咳や発熱、鼻水を症状とする風邪のウイルスの代表で、35%を占める。実は、動物の体内にもいて、2003年に広東省のコウモリにいるタイプが人に感染して肺炎を起こしたのが、SARSを巻き起こした新型コロナ。12年にサウジアラビアのヒトコブラクダから変異したタイプはMERSとして猛威を振るった。

Q 中国の感染者は少ない?

 今回の新型コロナはタイ、日本に続いて韓国台湾、米国でも感染者が報告されている。

 海外への感染拡大が早いことから、中国当局の数字はうのみにできないだろう。英インペリアルカレッジ・ロンドンの研究チームは、12日時点で、武漢での患者数は中国当局発表の30倍近い1700人程度と推計している。

Q 治療法はあるのか?

 抗菌薬は、細菌を抑える薬で、ウイルスには効果がない。どうすればいいのか。

「新型はもちろん、従来型でも、コロナウイルスには、ワクチンも薬もありません。万が一のケースは対症療法です。解熱剤、鎮咳薬、去痰薬、適切な輸液などを使用しながら保温や保湿、栄養補給などを行います」(加藤氏)

Q 予防はどうする?

 神奈川に住む中国籍の30代男性は、武漢に渡航中の今月3日に発熱。解熱剤を飲んでいたため、空港のサーモグラフィー検査をスルーして帰宅。現地で感染者と生活したことが、感染につながったようだ。

 中国の感染者は40代以上が多く、感染してから発症するまで潜伏期間は最大12日。発症すると発熱が中心で、息苦しさがあるという。予防は?

「国内感染者の男性は、解熱剤で帰国できたような状態でした。その例からも分かる通り、今の状況なら正常な免疫力があれば感染しても軽くて済むでしょう。免疫力の7割は、腸内細菌が担っています。発酵食品で善玉菌の乳酸菌を増やし、腸内細菌のエサとなる食物繊維を取るのが効果的です」(藤田氏)

 腸内細菌は、3歳までの食生活で自分の型が決まるという。

「その型に合うものがベストです。私は京都出身の母と韓国系のお手伝いさんに育てられたので、京漬物とキムチ。自分の型が分からなければ、ヨーグルトや漬物、チーズなどから一つを決めて2週間試すといい。それで、肌つやや便通などが改善すれば、型に合っている証拠。ダメなら、ほかに替えながら見つけるといいでしょう」(藤田氏)

 残りの3割は、リラックスして楽しい状態だ。インフル対策と同じようにマスクや手洗い、うがいなどとともに、楽しく前向きにストレス発散すれば、“見えない敵”も怖くない。

中国で新型が生まれるのは食文化のせい

 今回の新型も、SARSも、中国で生まれている。そこで、注目されているのが、中国の食文化だ。

 今回の新型コロナウイルスは発生源が不明だが、可能性の一つはコウモリだ。英研究者は「SARSコロナに89%の類似性がある」と分析している。断定はしていないが、武漢の「海鮮市場」では、海鮮や鶏肉のほか、コウモリやマーモットなどの小動物も売られているだけに不気味だ。

 そのコウモリがもつウイルスが、いろいろな動物を経て人間に取り込まれていき、人への感染が可能に。SARSもコウモリ↓イタチアナグマ、タヌキ、ハクビシン→人に伝わったとされる。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐藤二朗vs橋本愛騒動が直撃! フジドラマ“出たくない俳優”&“見たくない視聴者”の二重苦

  2. 2

    趣里が7月期テレ朝ドラマで出産後初主演 続く水谷家との「蜜月」で三山凌輝にも復活説

  3. 3

    萩本欽一〈24〉相方の坂上二郎さんとは「遊ばない・食事しない・夢を語らない」を徹底した事情

  4. 4

    巨人エース戸郷翔征の不振を招いた“真犯人”の実名…評論家のOB元投手コーチがバッサリ

  5. 5

    “キムタク効果”見込んだ吉野家の戦略は残念な結果に…ファンの間に沸き起こる「藤田ニコル復帰待望論」

  1. 6

    佐藤二朗騒動の余波!「福田組」の長澤まさみへの“ハラスメント”舞台挨拶の悪ノリ動画が再注目…女性視聴者は嫌悪

  2. 7

    ソフトバンク「佐々木麟太郎シフト」着々…同ポジションの中村晃引退、山川穂高二軍塩漬けが伏線

  3. 8

    「夫婦別姓刑事」とフジテレビの時代錯誤…“看板に偽りあり”のタイトルと「超・年の差婚」設定への嫌悪感

  4. 9

    萩本欽一〈25〉「車椅子でも絶対に明治座に出す」脳梗塞で左半身麻痺の坂上二郎さんを奮い立たせたひと言

  5. 10

    維新また猿芝居…国会空転トップ会談で定数削減法案に“白旗”も「今時点で取り下げない」と強がるワケ