なぜ米はグランド・プリンセスの乗客を早期下船させるのか

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 スウェーデンの研究チームが、ダイヤモンド・プリンセス号における新型コロナウイルス感染症への対応に関して、感染症数理モデル検討した結果を、旅行医学と移民の健康などを扱う「Journal of Travel Medicine」(2020年2月28日オンライン版)に投稿した。それによると、まったく介入しなかった場合と比べ、船内で乗員乗客を隔離したことで2000人超の感染を避けられたものの、早期に全員を下船させていればさらに多くの感染を回避できた可能性があったという。

 ダイヤモンド・プリンセス号では、香港で下船した乗客が新型コロナウイルス陽性と判明したため、日本政府は2月3日に横浜港に入港した同船に対し、乗員乗客の下船を許可しなかった。船は2月19日まで検疫下に置かれ、陽性者は下船させ日本国内の病院に搬送、陰性者は船内での隔離という措置が講じられた。2月20日に検疫が終了し下船が許可された時点で、新型コロナウイルス陽性者は乗員乗客合わせて619人(17%)だった。

 研究チームは、感染症流行予測の数理モデルのひとつ「SEIRモデル」を用いて、クルーズ船における新型コロナ感染症の基本再生産数(R0)を算出した。R0とは1人の患者が何人の人に病気をうつすかを示す数値だ。その結果、検疫・隔離を開始する前の船内のR0は14.8で、武漢市(3.7)の4倍に達していた。検疫・隔離の開始後は、1.788まで低下した。

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