著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

内臓に持病があっても…血圧の薬をやめると寿命が縮む?

公開日: 更新日:

 血圧を下げる薬を降圧剤といいます。降圧剤には多くの種類がありますが、その中でも使用頻度が高いのが、ACE阻害剤とARBと呼ばれている薬です。

 この2種類の降圧剤は、いずれもレニン・アンジオテンシン系という、体の水や塩分を保つ仕組みを抑える薬です。本来は必要な仕組みなのですが、高血圧の患者さんでは、この仕組みが強く働くことにより、血圧が上がり、心臓などの臓器にも負担がかかることが分かっているからです。

 ACE阻害剤やARBは優れた効果を持つ薬ですが、腎臓を流れる血液を減らすような働きもあるため、腎臓機能が高度に低下したような状態では、それがより悪化する可能性を考えて、中止するか他の薬に変更することが多いのが実際でした。

 それでは、腎機能の低下を理由に降圧剤を中止することで、体に悪い影響はないのでしょうか?

 今年の米国医師会の内科専門誌に、それについての研究結果が報告されています。アメリカの大規模な住民データを解析したところ、腎機能が高度に低下したことを理由に、ACE阻害剤やARBを中止すると、中止しない場合と比べて、死亡するリスクも、心臓病などの病気になるリスクも、いずれも増加していたのです。一方で薬を中止しても、透析が必要となるような腎不全になるリスクには、ほとんど差はありませんでした。内臓に持病がある人が血圧の薬をやめる時には、より慎重に考えた方がよさそうです。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  2. 2

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 3

    未成年の少女を複数回自宅に呼び出していたSKY-HIの「年内活動辞退」に疑問噴出…「1週間もない」と関係者批判

  4. 4

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  5. 5

    2025年は邦画の当たり年 主演クラスの俳優が「脇役」に回ることが映画界に活気を与えている

  1. 6

    真木よう子「第2子出産」祝福ムードに水を差す…中島裕翔「熱愛報道」の微妙すぎるタイミング

  2. 7

    M-1新王者「たくろう」がネタにした出身大学が注目度爆上がりのワケ…寛容でユーモラスな学長に著名な卒業生ズラリ

  3. 8

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  4. 9

    高市政権の積極財政は「無責任な放漫財政」過去最大122兆円予算案も長期金利上昇で国債利払い爆増

  5. 10

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手