著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

結核の予防ワクチンBCGが新型コロナウイルスを撃退する?

公開日: 更新日:

 BCGというのは、結核の予防ワクチンで、日本では剣山のような器具を使って、はんこのように皮膚に注射する方法が独自に開発されて使用されています。その目的は小児の結核の予防のためで、0歳のうちに接種することが公費接種として、原則全てのお子さんに行われているのです。ただ、BCGワクチンの免疫は、大人の結核予防には不十分なため、海外ではあまり接種はされていないワクチンでした。

 ところが、最近このBCGが世界的に注目を集めています。実はBCGワクチンには結核ばかりではなく、他の多くの感染症を予防するような働きがあり、それが今流行している新型コロナウイルス感染症に対しても、有効なのではないかといわれているのです。

 病原体から体を守る機能を免疫といいますが、免疫には自然免疫といって、相手にかかわらず敵を攻撃するような仕組みと、獲得免疫といって、一度感染した病原体に対して、体が後からつくる仕組みがあります。2018年の「セル」という一流の科学誌に掲載された論文によると、BCGを接種することにより、自然免疫が鍛えられて活性化することが示されたのです。この結果を受けて今ヨーロッパでは、医療従事者にBCGを打って、新型コロナウイルス感染の発症や重症化の予防が可能かの、臨床試験が開始されています。BCGが新型コロナウイルスの救世主になるかもしれません。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも