「何が苦しいのか。原因は何か。脱する道理はどのようなものか」

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問題を吐露し葛藤を整理する

【Q】もともと人と直接会って話すことを大切にしていて、メールや画面越しのやり取りが得意ではなかったので、緊急事態宣言下でリモートワークでは、仕事の進め方が分からず、部署内で取り残されているような気持ちを味わいました。出社するようになっても前とは勝手が違っていて、急速に変化する仕事環境についていけないような気がしています。

【A】「もともと人と直接会って話すことを大切にしていた」 このような思いを伺っただけで、この方がどれだけ誠実な方かが窺い知れるようです。私だったら、是非、この方に仕事をお任せしたいと考えます。その反面、メールや画面越しのやり取りが得意ではないのですね。

 もしかすると、それまで大切にしていた直接会って話すことについて、何故、大切にしていたのか、そして、何故、そのような思いを持って仕事をしていたのかを、思わぬ事態によって心乱れ見失っているのではないかと感じました。何故かというと、直接会って話すことを大切にしてきた方だからこそ、そのノウハウをメールや画面越しのやりとりでも活かすことができるのではないか、と思ったからです。

 また、実質的には「仕事の進め方が分からない」という問題があり、さらにはその問題によって「取り残されているような気持ち」「仕事環境についていけないような気がする」という心的な問題があるようですが、仕事の進め方が分かれば、心的な問題も和らいでくるのではないでしょうか。

 ご相談の文脈からは、直接会って話すことを大切にしていたが故に、メールや画面越しのやり取りが得意ではなかったことも相まって、リモート化された仕事の進め方が分からない、と理解出来ます。
しかし、直接会って話すことを大切にしてこられた方が、メールや画面越しのやり取りが得意ではなかった、というところに疑問があります。

 いまいちど、「直接会って話すことを大切にしていたのは何故か」「そのような思いを持って仕事をしていたのは何故か」を再確認してみて下さい。

 更には、「直接会って話す時、何に配慮していたのか」「何に気を付けて人と向き合ってきたのか」と考え直すことで、全て、メールや画面越しでの人との付き合いに反映できることだと思いますので、ご再考ください。

 実質的な問題はマニュアルを覚えるしかありませんが、その意欲や継続力は、他の要素の立て直しによって得られるものかもしれません。

 だとしたら、これまで、人と誠実に向き合ってこられたご自分の特性をしっかりと見直すことは無駄なことではないと考えます。

 先々の不安に押しつぶされてしまいそうになってしまうこともあるかもしれませんが、不要な思いに惑わされないようにお気を付け下さい。

▽前田宥全(まえだ・ゆうせん) 東京都港区「正山寺」住職。一般財団法人メンタルケア協会精神対話士。1970年、東京都生まれ。大学卒業後、永平寺での修行を経て、現職。1991年から「あなたのお話 お聴きします」の活動を始める。「自死・自殺に向かい合う僧侶の会」共同代表。

【連載】絶望してはいけない 命をつなぐ僧侶の言葉

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