著者のコラム一覧
小林秀行東邦大学医学部泌尿器科学講座准教授

1975年、東京都生まれ。2000年東邦大学医学部を卒業。卒後研修終了後に東北大学大学院医学系研究科病理病態学講座免疫学分野に進学。医学博士を取得。ペンシルバニア大学獣医学部にてリサーチアソシエイト。その後、東邦大学医学部泌尿器科学講座に復帰。2014年より現職。日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本生殖医学会生殖医療専門医。専門は男性不妊症。noteにてブログ「Blue-男性不妊症について」を配信中。

精子力の「低下」「老化」の原因と防ぐポイント

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 精子力とは、「精子の次世代をつくっていく能力」のことを指す造語です。妊娠するためには、精子力が高いことに越したことはないと思います。しかし、加齢と共に体力が落ちてくるように、精子力も落ちてきます。ここでは、精子力が落ちる原因と精子力をなるべく落とさないためのポイントを説明します。

 まず、男性らしさを決定するホルモンである「テストステロン」について説明します。テストステロンは、非常に重要なホルモンで多様な作用をもっています。具体的に説明すると、血管機能、糖代謝、脂質代謝、筋力、認知機能、勃起機能、精子機能、排尿機能といったさまざまな部位に作用します。しかし、テストステロンは35歳をピークに低下傾向を示すと報告されています。

肥満の裏には男性ホルモンの低下が隠れている

 テストステロンが低下し始めてまず皆さんが気づく変化が肥満です。たとえば、20歳代の時は、いくら食べても太らなかったのに、35歳を過ぎてくると太ってきたという経験はありませんか? これは、テストステロンが関係しています。テストステロンが低下すると、糖代謝や脂質代謝が低下しメタボリックシンドロームを引き起こします。メタボリックシンドロームとは内臓脂肪が過剰に蓄積されていることに加え、血圧上昇、空腹時の高血糖、脂質の異常値などがみられる状態のことを指します。

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