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荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【外傷】幅広く細菌を殺す抗菌薬は重症以外では避ける必要がある

公開日: 更新日:

 一方、第3世代セフェム系は、グラム陰性菌などにも効果を示すよう設計されている場合が多く、幅広い抗菌効果を得ることが特徴として挙げられます。一見、幅広い細菌に効果を示す第3世代セフェム系の方が優れていると思えるかもしれません。しかし、グラム陰性菌による感染が想定されない外傷に対しては、そもそも使用する必要がない薬といえます。また、幅広い細菌が影響を受けるということは、それらの細菌がその抗菌薬を“経験”することにより、耐性菌へと変化するチャンスを与えてしまう事態にもつながりかねません。

 このほかにも第3世代セフェム系の飲み薬は、他の系統の抗菌薬と比較して消化管で吸収されて血液中に入る割合が非常に低いことが知られていて、中には14%しか吸収されないものも存在します。ここ数年、医療界では第3世代セフェム系の飲み薬を「DU(だいたいウンチになる)抗菌薬」と呼んだりするなど話題になっています。

 不用意に幅広く細菌を殺す抗菌薬は、重症例以外では極力避ける必要がありますし、無駄な抗菌薬の処方は可能な限り減らさなければならないのです。

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