著者のコラム一覧
池田和彦新宮アゼリア薬局・管理薬剤師

1973年、広島県広島市生まれ。第一薬科大学薬学部薬剤学科卒。広島佐伯薬剤師会会長。広島市立学校薬剤師、広島市地域ケアマネジメント会議委員などを兼務。新型コロナワクチンの集団接種業務をはじめ、公衆衛生に関する職務にも携わる。

女性向けイメージがある「当帰芍薬散」はタイプにより男性にも

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 腰痛に使われる漢方薬について、今回は「当帰(トウキ)」にスポットを当ててお話しします。

 当帰はセリ科の植物で、その根を乾燥した部分が生薬として用いられます。栄養素を全身に巡らせる働きがある「血(ケツ)」を補う作用があるとされ、血液循環を改善することで体を温め、水分代謝を整えることで余分な水分を体から取り除くので、特に足腰に強い冷えを伴う腰痛に向いています。

 当帰を含む漢方薬で代表的な方剤が「当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)」です。芍薬(シャクヤク)、沢瀉(タクシャ)、茯苓(ブクリョウ)、川芎(センキュウ)、当帰(トウキ)、そして蒼朮(ソウジュツ)または白朮(ビャクジュツ)の6種類の生薬で構成される漢方薬です。

 冷え性や生理不順といった婦人病に使用される場合が多いので、女性向けのイメージがありますが、貧血傾向で冷えが強く、下腹部痛があり、耳鳴りやめまいなどの症状を訴えるタイプの腰痛に対しては男性も試す価値があるといえます。

 また、特に冷えや痛みが強い場合は附子(ブシ)を加えた「当帰芍薬散加附子(トウキシャクヤクサンカブシ)」、胃腸が弱い方は人参(ニンジン)を加えた「当帰芍薬散加人参(トウキシャクヤクサンカニンジン)」で対応するケースもあります。

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