いまの新型コロナにマスクは本当に必要なのか? 海外では緩和の動き

公開日: 更新日:

 新型コロナが流行し始めた2019年から繰り返し俎上に載せられてきた、「マスクは本当に必要なのか」という話題。シンガポールが3月末に屋外でのマスク着用義務を解禁しながら、新型コロナの新規感染者が減少したこともあり、改めて脱マスクに向けた議論が起きている。

 米国フロリダ州の連邦裁判所でも4月18日、バイデン米政権が公共交通機関などで義務付けているマスクについて「米疾病対策センター(CDC)が法的権限を逸脱して公共交通機関でのマスク着用を義務付けており違法だ」とする判決を下した。これを受け、米国の大手航空会社の国内線、列車、タクシー、バスなどでのマスク着用義務は事実上撤廃されている。

 判決を下したのはトランプ前大統領に任命された判事。CDCは、公共交通機関でのマスク着用義務の期限を5月3日まで延長したばかりで次期大統領選で復活を狙うトランプ氏の嫌がらせのような見方もあるが、連邦判事は政府の政策をやめる権限を持つという。

 米国司法省は衛生当局が必要と判断すれば控訴する方針だという。しかし、米バージニア州知事が発した、マスク義務化取りやめの行政命令阻止を同州の最高裁が棄却するなど、米国ではマスク着用義務化に疑義を投げかける司法判断が続いている。

 一方、日本の専門家からは「マスクを外せるのは新型コロナ感染症の終息のメドが立ってから」との声が多い。マスクの着用緩和を唱える人と脱マスクを主張する人との考え方の違いは、ウィズコロナを目指すのか、結局のところゼロコロナを志向しているのかの違いのようにも見える。はたしてマスクは本当に必要なのか? 公衆衛生に詳しい、岩室紳也医師が言う。

「私はシンガポールの判断や米国の判決などは日本を含めた世界の感染予防策に一石を投じたと思っています。そもそもなぜマスクをするのか、その目的を考えればマスクは状況次第で不可欠といえません。マスクをするのは新型コロナウイルスを含んでいるかもしれない、自分の飛沫を対面する相手の顔や料理に飛ばさないためのもの。相手から発せられた飛沫を自分の口の中に飛び込んでくるのを防ぐためではありません」

 マスクはウイルスを含んだ飛沫、空気中に漂うエアロゾルやウイルスそのものが口や鼻から侵入するのを防ぐためと考えている人がいるが、これは間違いだという。

「オミクロン株のようにエアロゾル感染や空気感染のリスクが高い場合のマスクは逆効果になることも考えられます。息苦しさから深呼吸になり、かえってウイルスを含んだエアロゾルを多く吐き出すからです。また、エアロゾルも空気中に漂うウイルスも一般的なマスクでは鼻や口元の隙間から入り、完全に防ぐことはできません」

 つまり、マスクは感染している人からの飛沫の飛散対策のいちアイテムに過ぎず、飛沫対策ができていれば、マスクは外していいと岩室医師は言う。

■あくまでも条件付きの脱マスク

「例えば、集団の場合、同じ方向を向いて食べ、対面のときに黙食していれば問題はありません。対面でおしゃべりしながら食事をするときにはアクリル板で飛沫対策をしていればわざわざマスクをする必要はないのです。ただし、料理人は自身の飛沫を料理にかけないようにマスクが必要です」

 そもそもマスクを常に誰もが着けることが本当に必要であるという確たるエビデンスは寡聞にして聞かないと岩室医師は言う。

「いまやマスクは議論の余地なく効果があるものとされ、誰もそれを科学的に繰り返し検証した結果導き出されたもののごとく扱っていますが果たしてそうでしょうか。思い込みではないのでしょうか。感染している人の口から出たウイルスが周りにいる人の口、鼻、目に入らないためにどのような場面でマスクが役に立つのかを考えられれば、おのずと外していい場面やタイミングとはいつなのかわかるのではないでしょうか」

 ここで注意したいのは岩室医師が主張しているのは「脱マスク」か、「マスク継続」かの二者択一ではないことだ。あくまでも条件付きの脱マスクであって、それも段階的なものだ。

 物事を単純化した二者択一はわかりやすい。しかし、それは自ら頭を使って考える機会を奪い、ときに思い込みによる正義感を生みかねない。思い込みによる正義の怖さはウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領を見ればわかる。

 マスクは何のために着用するのか、どんな条件(場所・人・時間など)の下ではマスクを外してもいいのか。難しい命題ではあるが、新型コロナウイルスがその姿を変えつつあるいま、専門家の声をうのみにせず、専門家を巻き込んだ議論をする必要があるのではないか。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    TBS「ラヴィット!」の“テコ入れ”に不評の嵐! グダグダぶりを楽しむ独自性損失で視聴者離れ加速危機

  2. 2

    「おい、おまえ、生意気なんだよ」 野村監督は俺の挨拶を“ガン無視”、暴れたろうかと考えた

  3. 3

    「オールスター感謝祭」で“ブチギレ説教” …島崎和歌子は今や「第2の和田アキ子」の域

  4. 4

    NHK朝ドラ「風、薫る」巻き返しを阻む“最大のネック”…見上愛&上坂樹里Wヒロインでも苦戦中

  5. 5

    米国とイランが2週間の停戦合意も日本は存在感ゼロ…お粗末すぎた高市外交を識者「完全失敗」とバッサリ

  1. 6

    スピードスケート引退・高木美帆にオランダが舌なめずり “王国復権の切り札”として白羽の矢

  2. 7

    高市政権が非情の“病人切り捨て”強行で大炎上! 高額療養費見直し「患者の意向に沿う」は真っ赤なウソ

  3. 8

    ブチ切れ高市首相が「誤報だ!」連発 メディア、官邸、自民党内…渡る政界は「敵ばかり」の自業自得

  4. 9

    JFAは森保一氏の“囲い込み”に必死 W杯後の「次の日本代表監督」のウワサが聞こえない謎解き

  5. 10

    『エニイ・タイム・アット・オール』1964年のジョンのギターを聴くだけで元気が出る