「超小型陽子線治療装置」開発のカギは回転しないガントリー

公開日: 更新日:

 これまで陽子線の分野では装置の小型化競争が繰り広げられてきたが、ほとんどが従来の装置をそのまま小型化するケースが多かった。装置は筒状の大きな機器を360度回転させて、さまざまな方向から陽子線を照射する「回転ガントリー」という技術を採用している。そのために装置が大型になってしまうのだ。

「超小型装置は、巨大なガントリーを回転させずにビームの角度を変える画期的な技術を使用しています。ガントリーを360度回転させる代わりに、電磁石を使って陽子線を曲げることで多方向からの集中照射が可能なのです。また、治療台が水平に180度、ガントリーが上下方向・円弧上に140度動くことで、複雑な構造を持つ病巣に対して周囲正常組織へのダメージを抑えつつ集中的な照射を可能にしています」

 超小型装置は、今年中には薬事承認される見込み。導入コストは従来の50億円ほどから、約20億円に抑えられるので、一般病院への普及が見込まれる。陽子線治療の適応疾患は今年拡大され、肝細胞がん、局所進行膵(すい)がんなど、8種類のがんが保険適用になっている。

【連載】コロナ禍でも注目 最新医療テクノロジー

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  3. 3

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  4. 4

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  5. 5

    坂口健太郎に永野芽郁との「過去の交際」発覚…“好感度俳優”イメージダウン避けられず

  1. 6

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  2. 7

    板野友美からますます遠ざかる“野球選手の良妻”イメージ…豪華自宅とセレブ妻ぶり猛烈アピール

  3. 8

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景