著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

吐き気止めには脳梗塞の危険がある?リスクは通常の3倍以上

公開日: 更新日:

 脳梗塞は脳の血管が何らかの原因で詰まってしまうことにより起こります。その原因で最も多いのは血管が老化する動脈硬化ですが、血管に生まれつき弱い場所があったり、傷がついて炎症が起こったりすると、若い年齢でも脳梗塞になることがあります。年齢が若いからと、油断をするのは禁物なのです。

 脳に影響を与える薬の一部は、脳梗塞の危険性を高めることが知られています。その代表は抗精神病薬という薬で、脳のドーパミンというホルモンを低下させることが、その原因ではないかと考えられています。そこで問題となるのは、同じようにドーパミンを低下させる作用を持つ、吐き気止めの薬の影響です。抗精神病薬は特殊な病気の場合のみ使用される薬ですが、吐き気止めは誰でも気軽に飲むことのできる薬なので、よりその影響は大きいと考えられるからです。

 今年の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という一流の医学誌に、フランスでの研究結果が報告されています。それによると、吐き気止めの使用は、その後2週間の脳梗塞の危険性を3倍以上増加させていました。その影響は、脳に移行しやすい薬剤でより強くなっていました。

 脳梗塞のリスクを高めることが分かっている、高血圧などの持病のある方は、吐き気止めの使用には注意をした方がよさそうです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  2. 2

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  3. 3

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

  4. 4

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  5. 5

    広末涼子「実況見分」タイミングの謎…新東名事故から3カ月以上なのに警察がメディアに流した理由

  1. 6

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  2. 7

    国保の有効期限切れが8月1日からいよいよスタート…マイナ大混乱を招いた河野太郎前デジタル相の大罪

  3. 8

    『ナイアガラ・ムーン』の音源を聴き、ライバルの細野晴臣は素直に脱帽した

  4. 9

    初当選から9カ月の自民党・森下千里議員は今…参政党さや氏で改めて注目を浴びる"女性タレント議員"

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」