著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

夫婦2人で旅行がしたい 死ぬ瞬間まで自宅で仕事をしていたい

公開日: 更新日:

「ただただ死ぬ瞬間まで、自分の仕事をしていたい」

 61歳の男性は、建具や表具を取り扱う職人さん。ご自宅に隣接する作業場で、障子や襖の「骨」などを作ったり、その骨に障子紙や襖紙を張る仕事をされていました。

 この男性は、膵頭部がん。膵臓は胃の後ろにある細長い臓器で、この右側の膨らんだ膵頭部にできるがんが膵頭部がんです。膵臓は、がんができても症状が出にくく、不調を感じ、病院を受診したときにはかなり進行した状態であるケースが珍しくありません。

 男性も例外でなく、がんは腹膜を経て十二指腸に転移。膵頭部と十二指腸の切除手術、そして抗がん剤治療も受けましたが、結果は芳しくない状態。胆管炎や、腸の働きが悪くなるイレウス(腸閉塞)を合併しており、口からの食事はできなくなっていました。病院では24時間点滴を受けながら、がんに対する積極的治療ではなく、症状緩和の治療のみを受けていました。

 冒頭の言葉は、男性が奥さまに漏らしたもの。病院で過ごすより、作業場がある自宅で過ごした方が夫は幸せなのではないか。奥さまはそう思い、私たちのクリニックへ相談の連絡をくれたのでした。ただ一方で、医療への不信感も抱いておりました。入院中に投与された鎮静薬の副作用で、男性の体調がひどく悪く、ほぼ寝たきりのようになった経験があったからです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    北島三郎(3)「北島ファミリー」の長女・原田悠里が語る御大

  2. 2

    豊昇龍が長期離脱で大の里までピンチ! “ひとり横綱”の重圧で「共倒れ」にならないか

  3. 3

    菊池風磨はジャニー喜多川氏の“推薦”もあって慶大総合政策学部に進学 仕事の合間に1日10時間の猛勉強

  4. 4

    北島三郎(2)2018年に次男が急逝「息子だけど、音楽の、とても良い仲間でもあった」

  5. 5

    SNSで大バズリ! 高市首相の「激ヤバ発言動画」発掘がブームに…中には悪質な切り取りも

  1. 6

    『ヘイ・ブルドッグ』ポールの見事なアドリブに感じるコーラスグループのすごみ

  2. 7

    有望高校球児の進路事情に異変! 青学大は「ドラフト指名と同等の価値」「明大より上」とプロスカウト

  3. 8

    KDDIが楽天モバイルへの「ローミング」終了でライバルの“品質低下”を狙い撃つ

  4. 9

    新庄日本ハム舵切り「2位シフト」 騙し騙し起用の万波中正をついに登録抹消

  5. 10

    東京・銀座、KK線再生で誕生、東京スカイコリドーは高さ8.5メートル天空の遊歩道