著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

がんになると必ずがんで亡くなるわけではない 心臓のチェックを定期的に

公開日: 更新日:

 もう一つは、放射線の影響もあるでしょう。乳がん肺がんなどで放射線を照射して、その照射範囲に心臓の一部が含まれると、わずかながら狭心症や心筋梗塞が増えることが分かっています。特に左の乳がんや肺がんで影響が大きい。

 しかし、これについても対策は可能です。左の乳がんで心臓に照射される可能性がある場合は、大きく息を吸ってもらって息を止めた状態で照射します。そうすると、肺に空気がたまって左胸が外に出ることで、心臓との間に隙間ができます。さらに横隔膜が下がることで、心臓が上下に伸びます。

 この2つの工夫で、心臓を照射範囲から外すことができるのです。この方法は「深吸気息止め照射」と呼び、心臓への照射を避けるにはとても重要です。事前に赤外線装置で息止めの状態を確認します。

 一方、前立腺がんでも放射線治療が行われますが、心臓への影響はありません。

 前立腺がんで心臓病の発症リスクが上がらないことからも、納得がいく結果です。

 今回の結果の教訓でいえるのは、がんサバイバーは心臓病を防ぐための運動食事の改善をおろそかにしないこと。糖尿病はがんのリスク因子の一つで、糖尿病がある人はもちろん、糖尿病でない人も、その予防になるメタボ改善の食事と運動が、その答えです。さらにかかりつけ医に心機能のチェックを定期的に診てもらうことも大切だと思います。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  2. 2

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  3. 3

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  4. 4

    永野芽郁「二股不倫」報道でも活動自粛&会見なし“強行突破”作戦の行方…カギを握るのは外資企業か

  5. 5

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  1. 6

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  2. 7

    三山凌輝に「1億円結婚詐欺」疑惑…SKY-HIの対応は? お手本は「純烈」メンバーの不祥事案件

  3. 8

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  4. 9

    佐藤健と「私の夫と結婚して」W主演で小芝風花を心配するSNS…永野芽郁のW不倫騒動で“共演者キラー”ぶり再注目

  5. 10

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意