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安井謙二整形外科医

東京女子医大整形外科で年間3000人超の肩関節疾患の診療と、約1500件の肩関節手術を経験する。現在は山手クリニック(東京・下北沢)など、東京、埼玉、神奈川の複数の医療機関で肩診療を行う。

整形外科の教科書には「肩凝り」という病名は載っていない

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 肩凝りは、日本人に頻度が高く、慢性的に悩まされる身体症状ですが、実は整形外科の教科書には「肩凝り」という病名はありません。

 日本整形外科学会の報告では、肩凝りを「肩関節部~項部の間、項部、肩甲骨部及び肩甲間部における“固くなった感じ”“張っている感じ”“重苦しい感じ”“痛い感じ”」としています。

 つまり肩凝りとは、「肩の凝り」「背中の凝り」「首の凝り」「頭痛」といったさまざまな自覚症状を、単にまとめたものなのです。

 19世紀の終わりには、肩凝りという表現は一般的に使われていたようです。明治・大正時代の医師、瀬川昌耆が1896年に出した著書「痃癖(けんぺき)─特殊肩痛」には、「裁縫業に従事すれば肩たちまち凝る、張る、痛むと訴える」とあります。

 痃癖の意味は、首から肩にかけて筋肉がひきつること。肩凝りや肩の痛みの総称として使われてきたのでしょう。

 また、樋口一葉は「われから」(1896年)で「あるときは婦女どもにこる肩をたたかせて……」とあり、「こる」という言葉を用いています。夏目漱石は「」(1910年)で、女主人公のお米の肩凝りを「頚と肩の継ぎ目の少し背中によった局部が石のように凝っていた」と著しています。

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