秋の夜長にぐっすり眠るには…照明を消して「光」を管理する

公開日: 更新日:

 秋も深まって寝苦しさから解放され、ぐっすり眠りたいと思っているのになかなか寝付けないうえ、朝もすっきり起きられない……。そんな悩みを抱えている人は「光」を意識したほうがいい。東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身氏に詳しく聞いた。

 ◇  ◇  ◇

 われわれの睡眠には、睡眠ホルモンとも呼ばれる「メラトニン」が大きく関わっている。夜間になると急速に増加し、体温や血圧を下げて心地よい眠気を誘発したり、質の高い睡眠を持続させる作用がある。

「メラトニンは、日光や照明などの『光』を網膜が感知すると減少し、わずかな光でも浴びている時間が長ければ分泌が抑制されてしまいます。メラトニンは入眠から3時間後に分泌のピークを迎えます。そのため、照明をつけたまま寝ると睡眠の質が下がり、翌朝起きた時も疲れが残ってしまうのです」

 メラトニンは500ルクスより暗くなると分泌され始める。500ルクスは、オフィスや家庭で一般的に使われている白色蛍光灯の明るさで、その下に3時間いると、分泌されるはずのメラトニンが50%減るという実験結果もある。

 また、米ノースウエスタン大の研究では、街灯の差し込み光や豆電球程度の明かりでも、睡眠時の呼吸、心拍数、インスリン感受性、メラトニンの分泌などに影響を与え、睡眠の質を低下させると報告している。つまり、寝室の照明は完全に消して、真っ暗にしたまま眠るのが理想的なのだ。

「別の研究では、就寝時に浴びる光は子供の近視に関係することがわかっています。真っ暗な環境で寝ている子供は将来的に近視になる割合が10%程度でしたが、豆電球では34%、照明をつけていると55%に上昇するという報告があるのです。就寝時の光がどうして近視につながるかについての詳しい仕組みはわかっていませんが、わずかな光でもわれわれの目に何らかの影響を与えるのはたしかといえるでしょう」

 照明はもちろん常夜灯も消す。さらにカーテンの隙間から差し込む光を防ぐため遮光カーテンを選んだうえで、カーテンの隙間をテープや洗濯バサミなどでしっかり留める。

 布団は窓から離れた場所に敷き、ベッドの位置を移動できない場合は枕の位置を窓からの光が当たらない場所に変更して、なるべく光の影響を受けにくくしたい。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元横綱・三重ノ海剛司さんは邸宅で毎日のんびりの日々 今の時代の「弟子を育てる」難しさも語る

  2. 2

    矢沢永吉&甲斐よしひろ“70代レジェンド”に東京の夜が熱狂!鈴木京香もうっとりの裏で「残る不安」

  3. 3

    巨人・岡本和真を直撃「メジャー挑戦組が“辞退”する中、侍J強化試合になぜ出場?」

  4. 4

    “最強の新弟子”旭富士に歴代最速スピード出世の期待…「関取までは無敗で行ける」の見立てまで

  5. 5

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  1. 6

    【独自】自維連立のキーマン 遠藤敬首相補佐官に企業からの違法な寄付疑惑浮上

  2. 7

    物価高放置のバラマキ経済対策に「消費不況の恐れ」と専門家警鐘…「高すぎてコメ買えない」が暗示するもの

  3. 8

    福島市長選で与野党相乗り現職が大差で落選…「既成政党NO」の地殻変動なのか

  4. 9

    Snow Manライブで"全裸"ファンの怪情報も…他グループにも出没する下着や水着"珍客"は犯罪じゃないの?

  5. 10

    今の渋野日向子にはゴルフを遮断し、クラブを持たない休息が必要です