著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

がんの末期に生じる痛みは「在宅」でもしっかりコントロールする

公開日: 更新日:

 その方は大腸の一部である横行結腸のがんを患う、奥さまと2人暮らしの70歳の男性。

「よろしくお願いします」(私)

「お願いします。お薬はこれですけど、もう病院の先生と薬剤師さんが飲ませないって」(妻)

「しんどい時は飲んでもらっていいと思います。痛みのコントロールは?」(私)

「初めてです」(妻)

「麻薬に近いお薬なんですけど、早めに痛みの薬を出して対応してもいいかなと思うんです。貼る薬を出して、それをベースにして、どうしてもつらい時は飲む薬を出すのがいいかと思います。ただ今日は(病院の)退院日でお薬が出せないので、明日また診察して出しておきます。あと心配なことはありますか?」(私)

「どういう状態なのかはわからなくて。慣れている方ならいいかもしれないんですけど」(妻)

「慣れている方なんかはいらっしゃらないですよ」(私)

 看取りに慣れていないのはどなたでもそうです。その不安を皮をはぐように一枚ずつ、ゆっくり一緒に取り除いていくことも在宅医療では大切な仕事。奥さまとお話ししてそのことを改めて考えさせられました。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    嵐ラストで「500億円ボロ儲け」でも“びた一文払われない”性被害者も…藤島ジュリー景子氏に問われる責任問題

  2. 2

    トリプル安で評価一変「サナエノリスク」に…為替への口先介入も一時しのぎ、“日本売り”は止まらない

  3. 3

    27年度前期朝ドラ「巡るスワン」ヒロインに森田望智 役作りで腋毛を生やし…体当たりの演技の評判と恋の噂

  4. 4

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  5. 5

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  1. 6

    元TOKIO松岡昌宏に「STARTO退所→独立」報道も…1人残されたリーダー城島茂の人望が話題になるワケ

  2. 7

    今田美桜が"あんぱん疲れ"で目黒蓮の二の舞いになる懸念…超過酷な朝ドラヒロインのスケジュール

  3. 8

    織田裕二「踊る大捜査線」復活までのドタバタ劇…ようやく製作発表も、公開が2年後になったワケ

  4. 9

    「嵐」が2019年以来の大トリか…放送開始100年「NHK紅白歌合戦」めぐる“ライバルグループ”の名前

  5. 10

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞