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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

コロナはまだ未知なもの…いまは判断、行動にとらわれず、自由に思考すべき

公開日: 更新日:

 新型コロナ感染症をネタに書き始めたものの、話題は別な方向へとそれていく。そもそもコロナは考えるための材料に過ぎない。コロナについて書きたい人はたくさんいるし、私自身コロナについて書きたいわけではない。多くの人が知りたいということは誰かが書くだろうから、そうでないことを書きたい、というような天邪鬼なところが私にある。

 自分自身がどんなものを読みたいかと言えば、訳のわからないものが読みたい。これまで何度も繰り返し読んできた本は、どれも読んでもよくわからないものばかりだ。読んでその場でよくわかる本も読むが、繰り返し読もうとは思わない。わからないけど読みたい、わかるまで読みたい、そういう本こそが自分をつくってきた。ただ結局、何度読んでもわかるというわけにはいかず、ぼろぼろになるまで読み続ける。わからないままに自分の血となり肉となっている。そんな本が何冊かある。

 だから、自分自身も訳のわからないものが書きたい。とはいえ、訳がわからないものは、繰り返しどころか1回も読めないというのが普通だろう。わからなくて1回も読めないものと、わからないけど繰り返し読みたいものの差は何か。好き嫌いということだろうか。わかるものにだけでなく、わからないものに対しても好き嫌いがある。わからないけど繰り返し読みたいものを求めてというのは、わからないけど好きというものを探しているのかもしれない。

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