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荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【日本紅斑熱】マダニに刺されて感染…近年は夏前から増加中

公開日: 更新日:

 5月、6月と「日本紅斑熱」の報告が相次ぎました。日本紅斑熱リケッチア(微生物)を保有するマダニに刺されることで感染します。

 刺されてから2~8日頃に頭痛、全身倦怠感、高熱などを伴って発症し、高熱とほぼ同時に紅色の斑丘疹が手足など末梢部から生じます。つつが虫病と症状がよく似ているといわれますが、つつが虫病に比べ重症化しやすいともいわれ、死亡例も報告されています。

 本来、日本紅斑熱は夏場に多く見られる疾患なのですが、温暖化の影響からか5月であっても報告数が増えています。国内における年間の報告数も2013年は175例、15年は215例だったのですが、17年は337例、20年には422例、22年は460例(暫定値)、今年は5月末時点の速報値で83例と増加傾向です。

 治療には抗生物質が用いられます。ただ、一般的によく使われるペニシリン系やセフェム系といったβ-ラクタム系抗生物質は、リケッチアには無効であるため注意が必要です。つつが虫病をはじめとした他のリケッチアと同様、テトラサイクリン系抗生物質が有効で、第1選択薬として用いられます。また、つつが虫病とは異なりニューキノロン系抗菌薬も有効との報告もあります。

 日本紅斑熱の予防にはダニの刺咬を防ぐことが非常に重要です。マダニにかまれないよう草むらややぶに入る際は、長袖や長ズボンを着用し、サンダルなどの肌を露出するようなものは履かないなど、肌の露出をできるだけ少なくすることが大切です。

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