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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

「メタ分析」の情報の氾濫はむしろ判断を混乱させる

公開日: 更新日:

 前回、メタ分析の2つのバイアス、「出版バイアス」と「異質性バイアス」について説明した。今回は、その続きである。

 メタ分析のためには、徹底的な漏れのない情報検索で候補となる研究を同定し、その中から一定の基準を満たした質の高い研究を選び出す必要がある。候補論文の「同定」と「抽出」という作業である。この部分について、例で取り上げたメタ分析ではどのように行われているか見てみよう。

 論文検索にあたり、臨床疫学者が検索し、2人の上級医学図書館司書によって検討され、候補論文の同定が行われたとある。情報検索は、複数の専門家によってなされている。さらに候補論文から解析に用いる論文を抽出するにあたっては、10人のこの論文の著者がそれぞれ独立して作業をし、一致しないものについては著者間の議論によって最終的な採用を決めたとある。論文の抽出にあたり大勢で相談しながらではなく、まず一人一人が単独で評価し、一致しないものについて議論して決めるという標準的な手続きが踏まれている。

 この論文中には、この点が、このメタ分析の最大の強みのひとつであるとの記載がある。情報収集についてのバイアスを最小限にとどめるような努力がなされているというわけである。ただ、ここで最大限の努力がはらわれていたことは評価できるが、バイアスが避けられているかというと、そうとは限らない。

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