著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

「メタ分析」の情報の氾濫はむしろ判断を混乱させる

公開日: 更新日:

 観察研究では、研究者側でマスクを着けるか着けないかどうかを指示するわけではなく、現実にマスクを着けていた人と着けていなかった人を比較するために、以前指摘したような自己選択バイアスや交絡因子を避けがたい。

 さらには観察研究では多くの解析が行われることが多いため、たまたま「有効」という結果が出た部分が報告されやすい面もある。事実、このメタ分析の論文の評価においても、大部分の研究において交絡因子によるバイアスの可能性は高いと報告されている。

 介入研究については、マスクの効果の検討に対して本連載でも取り上げたデンマークのランダム化比較試験が分析に利用されているが、この論文の個別のバイアスの評価については記載されておらず、「全体としては中等度のバイアスあり」という評価が報告されている。

 メタ分析をするからといって、個々の研究のバイアスが修正されるわけではないのである。

 多くのメタ分析が行われるようになって、医療者の判断に大きな影響を与えるようになった。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  2. 2

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 3

    未成年の少女を複数回自宅に呼び出していたSKY-HIの「年内活動辞退」に疑問噴出…「1週間もない」と関係者批判

  4. 4

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  5. 5

    2025年は邦画の当たり年 主演クラスの俳優が「脇役」に回ることが映画界に活気を与えている

  1. 6

    真木よう子「第2子出産」祝福ムードに水を差す…中島裕翔「熱愛報道」の微妙すぎるタイミング

  2. 7

    M-1新王者「たくろう」がネタにした出身大学が注目度爆上がりのワケ…寛容でユーモラスな学長に著名な卒業生ズラリ

  3. 8

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  4. 9

    高市政権の積極財政は「無責任な放漫財政」過去最大122兆円予算案も長期金利上昇で国債利払い爆増

  5. 10

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手