著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

医療の中でのギャップ…「診療所」と「病院」のコロナ重症者の確率の違い

公開日: 更新日:

 そうした判断に対して、マスクを着用せず、ワクチンも打たないという重症者を多く診ている病院医師から反対意見が出るのはもっともだろう。さらに病院医師の多くは医学論文を参照して、そうした自分自身の目の前の患者だけでは重症化を過大評価していることを認識している場合が多い。

 ただそうはいっても、医学研究を読めば判断ができるということでもなく、個別の判断としては、マスクを付けない、ワクチンを打たないという選択肢は、常に保証されるべきだし、数年後にはマスクの効果もワクチンの効果も、害の方が勝るという医学研究が主流にならないとも限らない。害の検討には多くの時間を要することが多いのは前回取り上げたが、この先、「医学研究など信頼できない」という人の意見を支持する信頼に足る医学研究が発表されるという逆説的な結末もありうる。

 ここでも学校におけるマスク着用と同様な判断の困難がある。それが学校と同様、国の判断も「個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねる」ということであった。ただここでの判断には、「マスクは有効」という医学専門家からの意見が提出されたうえでの決定であったところが、一斉休校や学校の判断と異なるところである。そう考えれば、この国の判断は、医学研究も考慮したうえでの以前よりは一歩進んだ判断であったともいえる。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃