著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

尿で排泄されるクスリは腎機能が低下しているとリスクが高まる

公開日: 更新日:

 体内におけるクスリの動き「ADME」の最後の段階は「排泄」です。クスリはいつまでも体の中にとどまることはなく、最終的には排泄を経て体の外に出ていきます。主な排泄の経路は尿中と糞便中になります。

 糞便中に排泄されるクスリには、そもそもほとんど吸収されないためにそのまま排泄されるものもありますが、大部分は肝臓で代謝を受けた後で胆汁を介して腸内に排泄されるものになります。そのため、肝臓での代謝を受けていれば、クスリの排泄にはそれほど大きな影響を及ぼしません。

 一方、尿中に排泄されるクスリの多くは、肝臓で代謝を受けることで水溶性(水に溶ける力)が高まり、腎臓を介して尿中に溶けた状態で体外に排泄されます。また、肝臓ではほとんど代謝を受けずに、そのままの形で尿中に排泄されるものもあります。糞便中に排泄されるクスリとは違い、腎臓の機能が低下するとこうした尿中に排泄されるクスリの量も低下し、結果として体の中のクスリの量が増えるだけでなく、副作用のリスクも高まってしまいます。

 腎臓の機能低下は疾患によっても起こりますが、加齢に伴う生理機能の低下によっても起こります。というのも、腎臓の機能を左右する要因のひとつである腎血流量が、加齢に伴い低下する傾向にあるからです。腎臓の中には糸球体という濾過(ろか)装置のようなものがあるのですが、この糸球体での濾過は血液の圧力=血流量に依存していることから、加齢に伴い腎臓の機能はどうしても低下していくのです。

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