著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

睡眠ホルモン「メラトニン」で感染症の悪化が予防できる?

公開日: 更新日:

 風邪をひくと睡眠時間が長くなり、眠った分だけ体が回復した気分になるものです。その一方で熱があって体調が悪い時に、睡眠時間が短いと、より病状が悪化した気分になります。これは気のせいでしょうか?

 じつはそうではありません。睡眠をしっかりとることで、体の免疫の状態は健康に保たれ、それだけ病気からの回復も早くなるのです。ただ、その原因は正確に分かっているわけではありません。

 今年の呼吸器病の専門誌に、興味深い研究結果が報告されています。慢性の呼吸器病を持つ患者さんが、インフルエンザや新型コロナなどの感染症に罹ると、その病状が急激に悪化することが知られています。呼吸器病の実験動物のネズミを利用して、そこにインフルエンザウイルスを感染させると、呼吸機能は低下して病状が悪化しますが、そこに睡眠を誘導する作用を持つ「メラトニン」というホルモンを注射すると、体の免疫の暴走が抑えられ、病状の回復につながることが確認されたのです。

 メラトニンは眠りのリズムを正常に保つホルモンですが、それ以外に炎症を抑えるような働きも持っているのです。これはまだ動物実験のデータなので、そのまま人間に適応することはできませんが、よく眠っていることは、それだけで感染症の回復を促す効果があるのかもしれません。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本中学生新聞が見た参院選 「参政党は『ネオナチ政党』。取材拒否されたけど注視していきます」

  2. 2

    俺が監督になったら茶髪とヒゲを「禁止」したい根拠…立浪和義のやり方には思うところもある

  3. 3

    上野樹里“ガン無視動画”にネット騒然! 夫・和田唱との笑顔ツーショットの裏のリアルな夫婦仲

  4. 4

    巨人・阿部監督に心境の変化「岡本和真とまた来季」…主砲のメジャー挑戦可否がチーム内外で注目集める

  5. 5

    松下洸平結婚で「母の異変」の報告続出!「大号泣」に「家事をする気力消失」まで

  1. 6

    松本潤&井上真央の"ワイプ共演"が話題…結婚説と破局説が20年燻り続けた背景と後輩カップルたち

  2. 7

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」

  3. 8

    参政党トンデモ言説「行き過ぎた男女共同参画」はやはり非科学的 専業主婦は「むしろ少子化を加速させる」と識者バッサリ

  4. 9

    松本潤「19番目のカルテ」の評価で浮き彫りに…「嵐」解散後のビミョーすぎる立ち位置

  5. 10

    巨人エース戸郷翔征の不振を招いた“真犯人”の実名…評論家のOB元投手コーチがバッサリ