著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

がん化学療法の終了を報告…英キャサリン妃の気になる病状

公開日: 更新日:

 もう一つは、子宮内膜症があります。女性の10人に1人が患うありふれた病気で、子宮内膜の細胞が子宮の外で増殖し、生理のときに出血を起こすのです。それが卵巣で起こるのがチョコレート嚢胞。卵巣内部にたまった生理の出血が古くなると、溶けたチョコレートのようになることからこう呼ばれます。

 チョコレート嚢胞は卵巣がんのリスクです。卵巣がんの合併率は、40代で4%という報告もあり、嚢胞が10センチ以上になるとより合併率は高まります。

 卵巣がんは50代が発症のピークですが、40歳から増えること。卵巣にできる腫瘍は、良性、良性と悪性の中間的な境界悪性、悪性の3つに分けられ、良性が85%程度であること。診断するには、まず腹部手術で病巣を切除して病理検査が必要なこと。卵巣がんは婦人科系のがんの中では比較的抗がん剤が効きやすく、治療は手術と抗がん剤を組み合わせるのが基本であること。

 キャサリン妃は42歳。がんの専門医が一連の報道に触れ、こうした事情を踏まえると、卵巣がんの可能性はあると思われます。子宮体がんも、開腹による大がかりな手術と化学療法が治療の中心になるケースが多く、この可能性もあるでしょう。一方、子宮頚がんは、欧米は放射線を使うことが多いのに、放射線の話がまったく出ていない点で、可能性は少ないと思います。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  3. 3

    高市内閣の閣僚にスキャンダル連鎖の予兆…支持率絶好調ロケットスタートも不穏な空気

  4. 4

    葵わかなが卒業した日本女子体育大付属二階堂高校の凄さ 3人も“朝ドラヒロイン”を輩出

  5. 5

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    隠し子の養育費をケチって訴えられたドミニカ産の大物種馬

  3. 8

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 9

    高市早苗「飲みィのやりィのやりまくり…」 自伝でブチまけていた“肉食”の衝撃!

  5. 10

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑