著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

がんを調べる線虫検査…多施設調査で分かった陽性的中率の低さ

公開日: 更新日:

 それなのにN-NOSEを展開するHIROTSU社が「一次スクリーニングとしてのN-NOSEが有用である」と主張しており、大いに疑問が残ります。むしろN-NOSEは、「本当はがんではないのに高リスクと診断した偽陽性」が大部分でしょう。

 調査に加わった日本核医学会PET核医学分科会も、HPできちんと指摘。一般の方が惑わされないように言及しています。「がんのスクリーニング検査には該当しないと考えられます」と。そして、論文では、「この調査結果は仮に線虫検査で高リスクと判定されても、必ずしも『担癌状態(体にがんがある状態)にあること』を意味しないことを再確認させる結果でもある」としています。

 私のところにもN-NOSEの検査結果を持参して来られる方が多数いますが、前述した通りがんがあるのかどうか、あったとしてもどこにあるのかが不明で、アドバイスできません。言えるのは「PETなどを受けて、がんを特定してから改めていらしてください」ということぐらいで、がんがあったとしてもかなり回り道になることを記しておきます。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  2. 2

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  5. 5

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  1. 6

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  2. 7

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方

  3. 8

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  4. 9

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  5. 10

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした