突然止まる医療品の供給…行き過ぎたグローバリズムの弊害?
「恒産なくして恒心なし」──「孟子」です。
高校の漢文の先生をしていた患者さんから教わりました。社会はやっぱり「恒産」、つまり安定した産業や雇用がないと人の心が乱れてしまう、という意味です。
むかし民間病院で働いていたころ毎月の売り上げがギッコンバッタン、安定しないと事務長によく文句を言われました。心臓手術の場合、冠動脈のバイパス手術より人工弁や人工血管、ペースメーカーなんかの手術をやると大きくお金が動きます。手術件数は同じでも内容によって大きく売り上げや支払いが変動するのです。日本社会は「いつも同じ」安定が大好きなのです。
ところが最近、久能山におわします大権現様もご所望なされたこの「安寧」が医療の現場では崩れています。
病院で処方された薬を薬局で買おうとしたら「在庫がありません」などと言われた方も多いと思います。クスリや手術で使う特殊なビニールの管、超音波メスの先端、こういった物品の供給が突然途絶える事態もここ数年、頻繁に起こっています。