著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

ミネラルに影響するクスリを使っている人はカリウムの血中濃度に注意

公開日: 更新日:

 ほかに、食べ物に含まれるカリウムが吸収されないようにするクスリが用いられることもあります。ただ、これらはあくまで軽度~中等度の高カリウム血症の場合であって、突然の心停止の危険性がある高度の高カリウム血症では、悠長なことはいっていられません。

 速やかにカリウム値を下げたいときには、インスリンが使われるケースがあります。インスリンというと糖尿病のイメージだと思いますが、インスリンの効果で血糖値が下がるのは、血糖(ブドウ糖)が細胞内に取り込まれることに起因します。その際、ブドウ糖と一緒にカリウムも細胞内に取り込まれるため、この性質を利用して高度の高カリウム血症の治療に用いられるのです。インスリンだけでは低血糖のリスクがあることからブドウ糖も一緒に投与するため、GI(グルコース-インスリン)療法と呼ばれます。

 カリウムは多すぎても少なすぎても体にとって良いことではありません。臨床では低カリウム血症や高カリウム血症の症例をみかけることは意外とあって、その多くが高齢者です。そして、体の中ではカリウム以外のミネラル・電解質も非常に厳密にコントロールされています。そのため、バランスの良い食事を心がけることはもちろんですが、病気の治療のためにミネラル・電解質に影響しうるクスリを使わなければならない場合には、注意が必要です。

 ただ、この点については症状がない限り血液検査でみていかなければならないため、われわれ医療従事者側がしっかりチェックしています。いずれにしても、「何事もほどほどが大事」という言葉がぴったりだと思いますので、みなさんもぜひ気を付けてください。

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