下肢装具の製作で義肢装具士の技術力が重要なのはなぜか
その患者さんにマッチしたより良い下肢装具を作るためには、患者さん一人一人をきちんと採型して、それぞれに合わせるフィッティングと完成後の安定性が重要です。フィッティングが悪いと装着感がいまひとつになって、歩行バランスが崩れてうまく歩けなくなってしまいます。下肢装具だけをポンと床に置いて立たせたときに、そのまま安定して立った状態を維持できないようなものでは、患者さんが装着して歩行リハビリをすると、転倒してしまう危険があるのです。
また、片麻痺によってつま先が下を向いたまま硬く固定されてしまう「尖足」の患者さんは、かかとを地面や床に着地できず十分に体重を支えられないため、良質な歩行リハビリが行えません。そこで、足を着地できるように矯正するため、浮いている足裏部分を補高した下肢装具が必要になります。どの部分をどれくらいの角度で補高すればよりスムーズに歩くことができるのか、補高のやり方にも義肢装具士のセンスや技術が求められます。かかとをしっかりついた歩行訓練をしていると、尖足も軽快して、補高の高さを徐々に減少できることもあります。