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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

「がんウイルス療法」のスゴイ成果と今後の課題…東大や岡山大などで続々

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 一方、岡山大のグループは、風邪の原因ウイルスのひとつアデノウイルスを用いて遺伝子を改変。がん細胞のみで増殖してがんを叩くテロメライシンを開発しています。食道がんを対象に内視鏡でテロメライシンを腫瘍に局所投与して放射線治療を併用するグループと放射線のみのグループにわけて追跡。

 その結果、評価可能な12人中11人で腫瘍が縮小していて、そのうち8人は腫瘍が完全に消失し、部分奏功は3人でした。画像検査などで腫瘍が確認できなくなる臨床的完全寛解は、ステージ1で83.3%、ステージ2と3で60.0%に上っています。放射線治療のみの場合は、それぞれ6割、3割ほどですから、テロメライシンの上乗せ効果がありそうです。

 いずれもかなりの成果ですが、腫瘍にウイルスを直接投与する局所投与でした。今後は、これがネックになるかもしれません。内視鏡などでアプローチしやすい腫瘍はともかく、そうでなければ、まだハードルがあると思います。

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