ソーシャルワーカーが病院の「品格」であるのはなぜか
■100人の患者に対して7~8人を配置
日本医療社会事業協会(当時)では、病床数50~100床につきソーシャルワーカー1人という配置基準を設けていますが、医療機関の規模や特徴、地域によって大きく異なっているのが実情です。かつて、1800~2000人の患者さんを抱えていた都内の大病院が、3人程度のソーシャルワーカーで対応していたケースがありましたので驚きです。
そんな状況では、ソーシャルワーカーの仕事は完全に流れ作業のようになってしまって、一人一人の患者さんや家族にしっかり向き合って、最適な対応や調整を実行するのは難しくなります。患者さんや家族の希望をきちんと聞いた上で、その希望にマッチした医療や社会制度に関する情報提供、福祉サービスや施設との連携、退院後の生活や経済的な支援の相談にのるといったソーシャルワーカーの本来の役割を全うすることはできないでしょう。
ちなみに、ねりま健育会病院は回復期リハビリ病院であるため、100人の患者さんに対し、7~8人のソーシャルワーカーを配置しています。1人あたり5~20人の患者さんを担当する計算になります。ここまで“濃厚”な配置をしている医療機関はあまり多くはありません。