著者のコラム一覧
尾上泰彦「プライベートケアクリニック東京」院長

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

(3)医師は体だけでなく心を癒やすのが仕事…患者の背景を聞く

公開日: 更新日:

「男にだまされた」「なんとなく店に居づらくなった」などと言いながら、全国の色街を転々としている風俗嬢も少なくありません。彼女たちにもその背景を事細かく聞きますが、だからといって私は説教じみた話は一切しません。私は診察室内で与えられた時間だけ患者さんと寄り添い、体と心を癒やすことに力を注ぎます。しかし、それ以上のことには踏み込みません。診察外は患者さんの人生。そのための考えや選択は患者さん自身が行うべきだからです。

 ですから、せっかく治しても何度もやってくる患者さんにも「今度はどうしたの?」と聞いて診療するだけです。

 逆に私のこうした態度に安心するのか、長く私を頼ってくれる女性の患者さんもいます。ベテランの風俗嬢でもあるその患者さんを通じて、「ヘルペスは年を経るに従い前からお尻の方へ移っていく」ということも学びました。

 私のこうした患者さんとの距離感の取り方は、風俗店のオーナーたちの信頼にもつながったようで、複数のお店の女性たちの定期検査を依頼されるようになったのです。=つづく

【連載】100万人を診た 性感染症医の事件簿

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