(3)医師は体だけでなく心を癒やすのが仕事…患者の背景を聞く
「男にだまされた」「なんとなく店に居づらくなった」などと言いながら、全国の色街を転々としている風俗嬢も少なくありません。彼女たちにもその背景を事細かく聞きますが、だからといって私は説教じみた話は一切しません。私は診察室内で与えられた時間だけ患者さんと寄り添い、体と心を癒やすことに力を注ぎます。しかし、それ以上のことには踏み込みません。診察外は患者さんの人生。そのための考えや選択は患者さん自身が行うべきだからです。
ですから、せっかく治しても何度もやってくる患者さんにも「今度はどうしたの?」と聞いて診療するだけです。
逆に私のこうした態度に安心するのか、長く私を頼ってくれる女性の患者さんもいます。ベテランの風俗嬢でもあるその患者さんを通じて、「ヘルペスは年を経るに従い前からお尻の方へ移っていく」ということも学びました。
私のこうした患者さんとの距離感の取り方は、風俗店のオーナーたちの信頼にもつながったようで、複数のお店の女性たちの定期検査を依頼されるようになったのです。=つづく



















