著者のコラム一覧
奥野修司ノンフィクション作家

▽おくの・しゅうじ 1948年、大阪府生まれ。「ナツコ 沖縄密貿易の女王」で講談社ノンフィクション賞(05年)、大宅壮一ノンフィクション賞(06年)を受賞。食べ物と健康に関しても精力的に取材を続け、近著に「本当は危ない国産食品 」(新潮新書)がある。

安くて儲からないクスリは日の目を見ないのか

公開日: 更新日:

「ゲイツと大手製薬会社は、学術機関、医療機関、医療雑誌、公衆衛生当局、WHOに対しても巨額の資金提供を行うスポンサーである」

 実際、英国の医師は「イベルメクチンについて好意的なことを言うと、大学の主要な資金提供者を怒らせることになる」と警告されたという。また、イベルメクチンが新型コロナに効果的だという結論に反論する論文を出した大学は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団から数百万ドルの資金提供を受けていたという。

 ただ、因果関係はいずれも推測にすぎず、少なくとも本書には、妨害したことを証明する事実は記載されていない。もしもこれが証明できれば、WHOがぶっ飛ぶぐらいの世界的なスキャンダルになるだろう。

 イベルメクチンが新型コロナの特効薬として使われなかった理由は、私が「『副作用のない抗がん剤』の誕生」(文芸春秋)で紹介したP-THPの運命ともよく似ている。共通しているのは、どちらも放線菌から誕生し、そして薬価が安いということだ。P-THPは副作用がほぼゼロという抗がん剤で、末期のがん患者が治る例もあった。だが、製造・販売する製薬会社はなかった。安くて儲からないとわかった途端、どの製薬会社も手を引いたのである。今の医薬品はどんなに有効であっても、儲からなければ日の目を見ることはないということである。

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