著者のコラム一覧
最上悠精神科医、医学博士

うつ、不安、依存症などに多くの臨床経験を持つ。英国NHS家族療法の日本初の公認指導者資格取得者で、PTSDから高血圧にまで実証される「感情日記」提唱者として知られる。著書に「8050親の『傾聴』が子供を救う」(マキノ出版)「日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる『感情日記』のつけ方」(CCCメディアハウス)などがある。

(2)いまどき栄養失調? 一見、食べていても見直したい子供の栄養

公開日: 更新日:

 亜鉛不足も食欲や活力の低下の一因となる。思春期女子ではPMS(月経前症候群)も見逃せない。ピルだけが選択肢かのように受け取られがちだが、ミネラル類を含む栄養面の見直しで症状改善が期待できることは繰り返し報告されている。私の臨床経験でも、奏功する子は少なくない。

 一方で、朝の不調や無気力の原因を栄養だけで片付けるのは危うい。例えば、食事時間の乱れも重要とされる。不規則な食事時間はそれ自体も体内時計を狂わせ、不眠や日中の過眠、意欲低下やだるさの原因となる。

 過剰なダイエットによる栄養失調も注意したい。若年日本人女性の平均摂取カロリーは終戦後の食糧難よりも低く、低体重の割合はアフリカの最貧国と肩を並べると報告されている。

 大人は子供の、食事の質と量の両方に目を向ける必要がある。朝を糖質だけでなく、卵、納豆、ヨーグルト、牛乳、チーズなど、タンパク質を一品足すこと。夜も主食だけで済ませず、肉・魚・卵・豆のどれかを入れること。それだけでも違う。

 ただし、不登校の原因を栄養だけに求める昨今の一部の風潮には、やや危うさも感じる。わが子の話に丁寧に耳を傾けることなく、健康食品とサプリメントばかりに執着する親に心が折れ、メンタル不調に陥った思春期のケースを何例も経験している。これでは、薬だけで患者の心を治そうとする医師と変わらない。

 とはいえ、心身の土台を支える栄養摂取を、多方面から検討する大切さに変わりがない。そのことは、強調しておきたい。 =つづく

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