著者のコラム一覧
シェリー めぐみジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家

NY在住33年。のべ2,000人以上のアメリカの若者を取材。 彼らとの対話から得たフレッシュな情報と、長年のアメリカ生活で培った深いインサイトをもとに、変貌する米国社会を伝える。 専門分野はダイバーシティ&人種問題、米国政治、若者文化。 ラジオのレギュラー番組やテレビ出演、紙・ネット媒体への寄稿多数。 アメリカのダイバーシティ事情の講演を通じ、日本における課題についても発信している。 オフィシャルサイト:https://genz-nyc.com

米国で高齢者が痩せ始める…史上最大のダイエット実験がスタート

公開日: 更新日:

 それに対しGLP-1薬の効果は大きく、臨床試験では、1年余りで体重が平均15%前後減った例もあります。さらに、心血管疾患を抱える人では、心筋梗塞脳卒中などのリスク低下も確認されています。

 では、この薬が高齢者に広く普及したら、肥満大国アメリカは本当に痩せるのでしょうか。

実は、すでにその兆候はあります。

 アメリカで肥満症とされる人の比率は、2022年の39.9%をピークに2025年には37%まで低下しました。GLP-1薬だけが原因とは断定できませんが、その一方で、GLP-1薬を使う成人は2024年の3%から2026年には11%へ急増しています。



しかし問題は、この薬を使うと、脂肪だけでなく筋肉も落ちる可能性があることです。

 高齢者はもともと加齢によって筋肉が減りやすく、そこから急激に体重を落とせば、体は軽くなっても、歩く力や転倒を防ぐ力まで失う恐れがあります。

「痩せれば健康」という常識は、高齢者にもそのまま当てはまるのか。
そして、国民を薬で痩せさせれば、本当に病気も医療費も減るのか。

一方で、利用者が急増すれば、薬不足への懸念もあります。一時起こった深刻な不足は増産で緩和されてはいるものの、今後の需要の急増をどこまで供給が支えられるかも課題です。

 2027年末までの期間限定プログラムは、こうした答えを探す、巨大な社会実験でもあリます。

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