松尾雄治さん(1)ゴルフ場で意識を失う…「気が付いたら病院のベッドでした」
仲間がいたことで助かった
──まずはケガに注意してください。血液をサラサラにする薬で脳卒中は予防できますが、血が止まらなくなる副作用があります。どこかにぶつけて出血したら、血が止まるまで20分くらい押さえていること。そうしないと皮下出血で腫れて大変なことになります。また、薬は6種類を超えると悪影響が出ます。大切な内服薬のみに絞ってもらい、5種類以下にすることです。
「ありがとうございます。いずれにしても、仲間がいたことで助かりました。ゴルフ場だから助かったと思っています」
──松尾さん、たばこやお酒は?
「たばこは社会人2年目に椎間板ヘルニアで8カ月間入院したときにやめました。お酒はもともと、そんなに飲まないんです。いま、店をやっているんですが、そこで少し飲むことはありますが、あまり飲みません」
──血圧は?
「低い方です」
──体重は現役時代と比べてどうですか?
「現役の時は173センチ、70キロくらいだと思います。それが85キロくらいまで増えたんですが、脳梗塞の入院でかなり減り、今は80キロくらいまで戻ってきました」
──もうちょっと絞った方がいいですね。
◇ ◇ ◇
脳卒中には脳梗塞、脳出血、くも膜下出血があります。多くは生活習慣病が進行して発症しますが、松尾さんは脳梗塞でした。脳梗塞には動脈硬化から来る軽症のラクナ梗塞、中等症のアテローム血栓性脳梗塞、さらに、重症の心原性脳塞栓症があります。松尾さんは不整脈による心原性脳塞栓症でした。一発で重症となるため、ノックアウト型脳梗塞と呼ばれています。
松尾さんは超短時間で脳血管に詰まった血栓を溶かすことができたので、脳血流が再開。大きな運動障害や、言語障害と高次脳機能障害も避けられました。通常6カ月間かかるリハビリ治療を10日間程度で卒業できたのは奇跡的です。急性期の脳梗塞治療が素晴らしかった結果です。救急搬送される急性期病院によって運命は変わります。そして、選択するリハビリ病院によって後遺障害の程度が変わります。「伝説の鉄人」も「人の子」だったわけですが、松尾さんの現役時代はケガとの闘いでした。次回はそのへんのお話も伺います。
▽松尾雄治(まつお・ゆうじ) 1954年1月生まれ、72歳。「ミスターラグビー」といわれた名選手。目黒高、明治大学、新日鉄釜石で活躍した。明大時代は4年の時に大学選手権、日本選手権で優勝。新日鉄釜石では日本選手権7連覇を達成した。日本代表の通算キャップ数は24。30歳で引退後はスポーツキャスター、成城大学ラグビー部監督、釜石への地域貢献でも知られる。現在は西麻布で「リビング」という店を営んでいる。



















