人生全体がぐちゃぐちゃ…それでも人間は生きていける モデルのkumo.さん語る乳がんと人生

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左胸にも乳がんが見つかった

 右胸の手術のあと、経過観察中に左胸の乳がんが見つかり、全摘手術をしました。このときはお金がなくて大部屋でした。同室は年配の男性ばかり。でも同じがん患者ですし、私が若くて珍しいのか、いろいろ話しかけてくれて退屈はしませんでした。唯一、嫌だったのは消灯が早いこと。楽しかったのは入院着が可愛かったこと。あれはテンション上がりました。

「なんで自分だけがこんな目に遭う?」とは思いませんでした。むしろ、がんも性別も家族も、人生全体がぐちゃぐちゃだけれど、それでも案外人間は生きていけるのだと思いました。ただ、乳がんは2回ともアイドル活動の大事な時期と重なったので、そんなときに動けないことがどんなにつらいかを味わいました。やはり、「健康第一」です。

 再発の可能性もあると聞いています。念のため、予防も含めて放射線や抗がん剤治療をする人はいると思いますが、私はアイドル活動に全力を注ぎたかったので、「やらない」と決めました。放射線や抗がん剤治療に時間を割かれたくなかったし、体調に影響して元気のない自分をみなさんに見せたくなかったのです。

 退院後は仕事に熱が入りすぎて、激しく動いて傷口を再縫合したことも……。振り返ると、あの頃はやけになっていました。

 今になって思うのは、「楽しく生きよう」ということです。笑顔が少なくなると、がんが進んだり、再発・転移しやすくなるんですって。だから、「いろいろ悩んでも可愛く悩むようにしよう」って思っています。私にとって“カワイイ”は人生の最優先事項だから、しんどいときこそ身の回りにカワイイものをあふれさせる。視覚的に可愛ければなんでもいいんです。そうしないとやっていけません(笑)。

 食事はバランスよく食べるようにしています。ただ、カワイイものも食べないとストレスになるので、スプリンクル(カラーチョコスプレー)のデコレーションは欠かせません(笑)。

 世の中には、知ろうとしないとわからないことがたくさんあります。たとえば、障害のある人のこと、いろんな家族があること、言葉に出せないものを抱えている人のこと。そういうことをもっと小さい頃から教育やメディアの力で伝えられないものかと思います。

 私は昔から「愛」や「性」に向き合う時間が長かったからかもしれません。施設で暴力があったり、自殺した仲間も見てきました。きれいごとは言いたくないけれど、死なないでほしかった。だから、私は楽しく生きたい。「こんな変なやつが生きているんだから自分も生きよう」って、思ってもらえる人になれたらいいなって思っています。

(聞き手=松永詠美子)

▽kumo.(くもどっと) 1茨城県出身のジェンダーレス。SNSや動画配信をはじめ、配信イベントへの参加がきっかけで現在の事務所に所属。2023年にアイドルユニット「灰神楽」のメンバーとしてデビューする(活動休止中)。現在、クリエーターとしてインスタグラム(@kumodot5)を中心に配信するほか、ファッション雑誌「men’s egg」の専属モデルとして活躍している。

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