(2)病気でずれる「体の時計」…体内時計はどこにあるのか
膵臓のβ細胞では時計遺伝子によってインスリン分泌能力が調整され、肝臓でも糖や脂肪の代謝が体内時計によって制御されている。しかし、夜更かしや夜間の食事、睡眠不足が続くと、脳の親時計と末梢臓器の時計にずれが生じた結果、インスリン抵抗性や食後血糖の上昇につながる可能性がある。
こうした背景から注目されているのが「時間栄養学」である。これは、何を食べるかだけでなく、いつ食べるかを重視する考え方だ。研究では、朝昼夜の3食をそれぞれバランスの良い時間帯にとり、夜遅い食事を避けることで、体内時計に合わせた代謝環境をつくり、血糖や体重の管理に役立つ可能性が示されている。
また、認知症でも体内時計の乱れは重要な問題となっている。患者では睡眠と覚醒のリズムが崩れ、昼夜逆転が起こることが分かっている。これは生活習慣だけでなく、脳の時計機能の低下が関係している可能性が研究で示されている。
現在、注目されているのが「時間治療(クロノメディスン)」という考え方である。これは、病気の種類や薬の選択だけでなく、「いつ治療するか」を重視する医学だ。光療法、時間栄養学、運動時間の調整などが研究され、薬の効果や副作用も投与時間によって変化する可能性が指摘されている。手術でも、治療時間帯と体内時計の関係が研究されている。


















