(2)病気でずれる「体の時計」…体内時計はどこにあるのか
例えば、肝臓は時間帯によって糖や脂肪の代謝活動を変化させ、膵臓も時間に応じてインスリンを分泌する能力を調整している。人間の体は全身に時計を持ち、それらが連携しながら生命活動を維持している。ハーバード大学医学部&ソルボンヌ大学医学部客員教授の根来秀行医師が言う。
「現代社会では不規則な生活によって、この精密なリズムが乱れやすくなっています。その影響が糖尿病や心血管疾患、老化の進行にも関係すると考えられています」
では、体内時計が乱れると体では何が起きるのか。健康な状態では、脳の親時計と肝臓や膵臓などの末梢時計は同じリズムで動いている。しかし、糖尿病、認知症、がん、うつ病、心血管疾患などでは、この時計のタイミングにずれが生じることが分かってきた。
この状態は「位相の乱れ」と呼ばれる。体内時計が示すリズムのタイミングがずれ、本来なら夜に高まるホルモン分泌や、昼間に活発になる代謝活動が適切な時間に行われなくなる状態である。例えば糖尿病は、単にインスリンが不足する病気ではなく、現在では、インスリン分泌、肝臓での糖の産生、筋肉での糖利用など、体全体の代謝リズムが乱れる病気と理解されている。


















