田舎暮らしの達人が語る 自然災害の脅威と人的トラブル
千葉県に爪痕を残した台風15号の被害によって、停電や断水に苦しむ人が続出した。特に被害が激しかった鴨川近辺は最近、都会からの移住先として人気の田舎暮らしの地となっている。しかし、夢の田舎暮らしを始めたと思ったら、このような自然災害に遭遇することは珍しくない。
筆者は長野、新潟、兵庫で田舎暮らしの体験があるが、長野の小谷村に移り住んだ2012年には、観測史上最悪といわれる大雪に遭遇。最寄りのJR大糸線は2カ月以上、不通となった。
今週、国連総会で主要議題に挙がったのが地球温暖化と気候変動だ。気象が荒っぽくなっているのは都会で暮らしている人も実感しているはずだが、自然の中では生活や命にも直結する。移住先の選定にあたっては、くれぐれも注意が必要だ。地形や周囲の状況などよく見極める必要がある。
例えば筆者が19年まで1年間弱暮らした八ケ岳山麓の長野県富士見町では3日間程度の停電はしょっちゅうあり、5日間の停電もあった。原因は戦後植林したカラマツとアカマツだ。旅行者にはロマンチックに見えるカラマツ林だが、今は一斉に寿命を迎えていて、台風や雪のたびに倒れ、長期停電を起こしたり、道路を塞ぎ、また建物にも被害を及ぼしていた。少しでも天気が荒れると凶器に一変してしまうのだ。