赤木雅子さんの覚悟「夫婦そろって日本に殺された。でも、私はまだ生きている」
「これが日本だよ。司法は正義の体現が目的ではないのさ。司法を使って治安を守り、体制を守る。そのためには正義や真実は二の次なんだよね」
■国と闘い続けたベテランからメール
そんなメールが赤木雅子さんに届いた。財務省の公文書改ざん事件で夫の赤木俊夫さんを亡くし、真実を知りたいと裁判を起こした雅子さん。ところが去年12月、国との裁判が“認諾”という異例の手続きで強制的に終わらせられた上、5月25日、元財務省理財局長・佐川宣寿氏との裁判でも、佐川氏や財務官僚ら5人の証人尋問の申請がすべて大阪地裁で退けられた。この裁判で真実を解明する道は事実上閉ざされてしまった。
その翌朝、事態を知ってメールを送ってきたその人は、桜井昌司さん(75)。強盗殺人の濡れ衣を着せられ、無実の罪で獄中29年間の末、再審(=裁判のやり直し)で無罪を勝ち取り、国などの責任を問う国家賠償訴訟でも勝訴。地名をとって「布川事件」として知られる。
赤木雅子さんとは共通の知人を介して知り合い、意気投合して信頼関係を深めてきた。国を相手に闘い続けてきたベテランだからこそ、重みのある言葉が続く。