欺瞞だらけ「子育て支援金」に専門家も苦言…下支えするのは平均給与に満たない低・中所得者

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年収200万~400万円の若者の犠牲の上に成り立つ

 こども家庭庁は9日、支援金制度による年収別徴収額の試算(別表)を初めて公表。会社員らが入る被用者保険を対象にした。徴収は2026年度に始まり、段階的に引き上げられる。岸田首相は「実質負担はない」と強弁してきたが、ゴマカシも甚だしい。

 国税庁の「民間給与実態統計調査」(2022年分)によれば、給与所得者5078万人のうち年収600万円以下は実に77%に上る。男性の平均給与が563万円であることを踏まえれば、平均給与に満たない低・中所得者が支援金制度を下支えすることになる。

 2028年度の徴収額を基に年収200万円から600万円の所得層が負担する総額(月当たり)を計算すると、ザッと234億円。一方、年収600万円から1000万円の層は146億円(同)。支援金制度は若い世代の子育てを助けるとうたうが、年収200万~400万円の若者の犠牲の上に成り立つという欺瞞に満ちているのだ。

 加藤こども担当相は9日の会見で、試算の意義について「議論のお役に立てていただければ」と、すまし顔だった。議論の余地があるなら、いっそイチから見直したらどうか。

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